季刊誌『光明』

平成29年-新春-第202号



猊下のお言葉


真言宗豊山派管長 総本山長谷寺化主 田代弘興 猊下のお言葉


  平成28年6月15日、総本山長谷寺にご入山以来初めての新春を迎えられる田代弘興げい。猊下は東京都杉並区、光明院のお生まれ。真言宗豊山派第三十三世管長・総本山長谷寺第八十七世化主けしゅであられます。

  ―― おやま(長谷寺)に「戻る」という心持ちでしょう。自坊が東京ゆえ、それまでは本山に行く、でしたが、住職として半年、おのずと戻ってくるところになりました。
「大和は国のまほろば(すぐれたところ)」と古来うたわれますが、明け暮れを重ねるにつれ、長谷の地こそ大和の中でもまさにまほろば、との思いを深めています。
  それに昔からお山に行くと、下の町にも行ったせいでしょうか「なじみのお方が管長さんになって帰ってこられた」と、町の皆さんがいってくださるのがまたうれしい。
  それやこれや、荻窪の自身の寺にいるのと同様の、居心地いごこちのよい日を送れるのは、なによりも長谷の観音さまのおかげです。もったいなくもありがたい、そうすらっと朝のおつとめで思えるのが、またありがたいのです。

  ―― 多難な時代です。世界のどこもが安全な場所でなくなりつつあります。人のつながりが壊れて、生きにくい世の中です。
  もう一度人と人との縁、横に同時代を生きる人と、縦に過去から未来に生きる人とのつながりを考えてみてはどうでしょう。
  日々たがいに頼り頼られ、どこかでつながっているのが人です。そんなつながりを感じたら、まず「ありがとう」といいましょうよ。からだで、ことばで、感謝の心を外に出すのは大切なことです。
  また少し前までは「お仏壇はもうおがんだの」などと朝晩に親がいったものです。で、子どもは渋々ながらも線香をあげて合掌する。そのくり返しがいつか、みずからのご先祖さまだけでなく、先に生きた人、さらに自分のあとに生まれてくる人とのつながり、縁というものに思いを至すことになってくるのです。これはもうさとりを求める心、ほつ菩提ぼだいしんの芽生えといってよいかと思うのです。
  そうしたところから始めて、一歩一歩、途中で後退ばかりのときもありましょうが、ほんとうのさとりに近づいていってほしい。非常に困難な道ですが、はるかにお大師さまのともされた光明を頼りに、普遍的な真理、すべてこの世にある存在の真実のすがた、すなわち真如を身と心でつかみ取ってほしい。そのような願いをこめて色紙に書きました。

  ―― くり返しになりますが、お山はほんとうによいところです。緑濃い山々の中に立つ坊舎の数々、参道のそこここに四季折々に咲く木や草の花、そして雄々おおしく気高けだかく立っていらっしゃる本堂の十一面観世音菩薩。まさに長谷寺は大和の国のまほろばです。
  お越しを心からお待ち申しあげます。





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