季刊誌『光明』

平成30年-新春-第206号



猊下のお言葉



  ―― あけましておめでとうございます。よいお年をお迎えのことと存じます。
  まずはお知らせいたします。
  昨春、総本山長谷寺の仁王門が、屋根瓦のふき替えなど三年に及ぶ工事の末、よみがえりました。これは明治十八年の再建後、初めての本格的な修理です。同時に、国宝の本堂ほか十七棟の坊舎の防災事業も完了しました。これもひとえに皆さまのおかげです。
  また、今年は西国三十三所草創千三百年になります。長谷寺開山の徳道とくどう上人しょうにんは西国札所ふだしょ開創の祖とされ、今春の記念法要や、十一面観音菩薩御影大画軸ご開帳など、再来年までの三年間にわたり諸々の事業が計画されています。
  あらたまった威風堂々の仁王門をくぐり、皆さまがより安心してご本尊さまへのお参りができますことを、せつに願っております。

       

  ―― お山(長谷寺)に上って、二度目の新年を迎えました。冷たく澄んだ大気の中、与喜山越しの初日はつひに身も心も引きしまります。
  皆さまそれぞれにめでたく新年を迎えて、さあ今日から、との〈決意表明〉になることでしょうが、今年はひとつ「日常のささいなこと」に心を向けてみるのはどうでしょう。
  たとえば、いつものあいさつ、食事、仕事、日々に変わる身近の自然など。私どもは一日のうちで実に様々なことを言ったり、したり、感じたりしますが、それらをひとつひとつ気に留めはしません。毎日が忙しいこともありましょうし、始終気にかけていたら先に進みません。
  でも時々は、きまりきった日常の行為の前で、立ち停まることがあってもよいのではないでしょうか。いつもよりやさしく「おはようございます」だったり、ていねいに「いただきます」と言って、味わうことに集中してみたり。そうすることで人と人、人とものとの関係が、より深くこまやかになり得るのではと思われます。
  あるいは周囲の風景に心を寄せてみる。私が起き居しているお山の坊の一室で、庭を見るともなしに見ている折りなど、雲の行き来で照りかげる日の光のうつろいや、飛びくる蝶の姿、木々の枝を揺らす風の音、遠くを行く電車のひびきなどが、いつになく鮮かに意識されることがあります。こうしたときはうれしいものです。心が周りに向って開かれてゆくという感じで、おのずと清々すがすがしい気持ちになります。
  いずれも取るに足らぬ、ありきたりのことかもしれません。人の日常はそうそう変化のあるおもしろいことばかりではなく、瑣事さじ(ささいなこと)の積み重ねです。ですが、それらの瑣事に心を向けることで、人生は必ずやみのり多いものになりましょう。

  ―― 『真言宗豊山派檀信徒のおつとめ』の中に「真言しんごん安心あんじんしょう」という一文があります。

真言安心章

  文中の業務ぎょうむは〈人としてのはたらき〉でしょうが、その中には日常の瑣事をいつくしみ、行為することも確かに含まれてあるはずです。

  ―― お山の春はまだ先ですが、この季節がいちばんお山らしい、いわば素顔の長谷寺が見られるような気がします。
  暖かくして、どうぞお出向きください。





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