季刊誌『光明』

平成31年-新春-第210号



猊下のお言葉



  檀信徒のみなさまが健やかに新春を迎えられましたこと、謹んでお慶び申しあげます。


  昨年は、西国三十三所草創1300年の祥当年であり、総本山長谷寺におきましても、記念大法要をはじめさまざまな行事が行われました。多くの方にご来山いただき、お山(長谷寺)がにぎわったことを大変うれしく思います。


  また、お山では朝のお勤めで一般の方もご参加いただける「祈りの回廊」という場をもうけていますが、寒い折りにも関わらず毎朝のように参列者があって、今も根付く本尊十一面観音さまへの信仰を感じずにはいられません。


  このお勤めは私の楽しみの時間でもあります。お山の朝は凛として、肌に触れる空気にさえ、そこにおわします神仏の存在を感じます。その中で、観音さまを見上げると慈しみのまなこでこちらを見ていらっしゃる。そして、大勢の僧侶による読経が山内にこだまし、静から動へ、お山の一日がはじまります。勤行の後には法話をいたしますが、みなさまと触れ合える貴重な時間です。昼の姿とはまた違った朝の長谷寺をぜひ体感ください。


  さて、昨年の世相を振り返りますと、地震や豪雨など、大きな自然災害が多く起きた年でありました。今もなお苦しみの中にいらっしゃる方も多いでしょう。一日も早い復興と安寧をお祈り申しあげます。


  昨年6月の大阪北部地震では私も京都の駅前におりまして、東京で東日本大震災にあったときよりも大きな揺れを感じました。交通機関も動かず、私を含め多くの人が足止めされてしまいましたが、驚いたのは居合わせた方みなが冷静で落ち着いていたこと。日本は地震などの災害が避けられぬ国ですから、日頃の心構えもあるのでしょうが、平常心を保っていた人々のすばらしさに、いたく感動したことでした。


  新年にあたりまして、この、人のすばらしさを、みなさまにはぜひ意識していただきたいと思います。真言宗を開かれた弘法大師は、人のすばらしさと可能性を強く信じた方でした。お大師さまの残された『ゆいかい』のなかに「いっしんしょうほとけことなることなし。しんしゅじょうしんぶっしんとのさんしゃべつなし。このこころじゅうすればすなわちこれぶつどうしゅす」という言葉があります。人の心は本来仏さまと同じであり、この本来の心をとりもどすことで仏となりうる、という意味です。

  生きる中では苦しみや悩みに始終出くわし、心が折れそうになることもあります。ですが人は誰もが本来仏さまのように、素晴らしく生きる資質をもって生まれてきました。そのように生まれたからには、人を信じおのれを信じ、生きていることの幸せを感じながら、自らのすばらしさを発露できるよう日々精進していただきたいと存じます。

  最後に私事わたくしごとではございますが、1月8日より14日まで京都の東寺でり行われるしちにちにおきまして、大阿だいあ(大導師)を務めることとなりました。後七日御修法とは真言宗各派を代表する僧侶が一堂に会し五穀ごこく豊穣ほうじょう鎮護ちんご国家こっかを祈る一大行事であります。その始まりはお大師さま自らが、朝廷に国を守るための修法しゅほうを行うことを願い出され、ご入定にゅうじょうの年の正月に、お大師さま大導師のもと行われたことにあります。時を越え、かたじけなくも自らがお大師さまと同じ導師の座にき、同じ祈りをささげることは、一真言僧として誠に大きな喜びであり、今から身の引き締まる思いです。檀信徒のみなさまを始め、万民の幸福を一心に祈念する所存です。

  本年がみなさまにとりまして良いお年でありますことを切にお祈り申しあげます。

  平成31年 元旦





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