季刊誌『光明』

平成31年-春-第211号



仏道生きかた手帳



第12回
  悔しい思いをしないために

名取芳彦



 他人にはずかしめられたり、自分の無力さを思い知らされて腹を立てたりして、いまいましく思うことを“悔しい”と言います。今回はいつまでも尾を引く悔しさについてです。


 相手の土俵にのらなくていい

 相撲すもう素人しろうとが得意な人から「この土俵で相撲をしよう」と手招きされたとします。この言葉を聞いて、よしやってみようと土俵にあがるのは、よほど好奇心が旺盛おうせいか、無鉄砲な人でしょう。
 相手は自分が得意な相撲で勝負しようとしているのですから、所詮しょせん素人が勝てるはずありません。相手の得意な土俵で勝負すれば、負けて悔しい思いをするのは目に見えています。
 その時に悔しい思いをしないためには、「いや、私はそんな無茶はしたくありませんから、遠慮しておきます」と土俵にはあがらず、その場から撤退てったいすることでしょう。


 相手がどんな土俵にいるのか見極める

 私たちが侮辱ぶじょくされたり、バカにされて悔しい思いをするのは、相手が得意(優位)な分野からこちらを誘い、それにまんまとのってしまったようなものなのです。
「なんだ、こんなことも(そんなことも)できないのか」と人をバカにする人は“こんなこと”や“そんなこと”ができる人なのです。できる人ができない人を責めるのは、それほど難しいことではありません。
 損得という土俵で生きている人は、「どうしてそんな損なことをするんだ」とバカにします。こちらも損得で生きているなら「たしかにそうですね」と、その言葉を甘んじて受けざるを得ないでしょう。つまり悔しい思いをするのです。
 しかし、得するため(損しないため)なら、人を裏切り、ズルするのもいとわない人になりたくないと思い“損得抜きで人のため”という土俵にいる人は、損得という土俵に興味はありません。「損得という土俵にあがってこい」と言われても、誘いにのりませんから、悔しい思いをしなくてすむのです。


 日常で受ける侮辱の多くは取るに足りない

 悔しさをバネにして力をつけるために努力し、相手の土俵にあがり、勝つ人もいるでしょう。自分が相手と同じ土俵にいるなら、それも必要かもしれません。
 しかし、私たちが日常で受ける侮辱や屈辱は、自分と違った土俵にいる人から向けられるものが少なくありません。
「こんなことも知らないの?これって有名だよ」と言われたら「そんなことを知っておく義務はないし、そもそも私が知らないのだから、有名ではないのです」と返せばいいのです。
「自分にもっと正直になりなよ」と言われたら「自分に正直なだけで、他人に不誠実な人がいるものですが、私はそんな人にはなりたくないのです」とにっこり笑って、放っておけばいいのです。

 逆に、人をバカにしたくなったら、「私は自分の土俵に相手を無理矢理あがらせようとしているではないか」と考えてみると、相手から反感を買うことも少なくなるかもしれません。


仏道生きかた手帳掲載イメージ




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