季刊誌『光明』

平成30年-夏-第208号



仏道生きかた手帳



第9回
  丁寧ていねいな生き方

名取芳彦



    自分にない物を欲しがる“ない物ねだり”。それは物やお金にとどまらず、生き方にも当てはまるようで・・・。
  忙しければ「たまにはのんびりしたい」とため息をつき、やることがなければ「心がウキウキするような、何か面白いことはないかなぁ」とあくびをするような始末。まるで、ため息とあくびのシーソーゲームをしているようなものです。


  シーソーゲームからの脱出

  こりもせずにそんなシーソーゲームをつづけている自分にあせりを感じていたある日、三十代の男性から質問を受けました。
  「僕は毎日何かに追われるように生きているのですが、どうすればもっと丁寧に生きられますか」
  生き方の種類に、精一杯生きる、あるがままに生きる、のんびり生きるなどがあるのはわかりますが、「丁寧に生きる」など考えたことがなかった私は目を丸くしました。同時に、丁寧な生き方は、ない物ねだりの日常から脱出する鍵になる気がしたのです。


  形の後から思いがついてくる

  「最初だと思えば謙虚になる。最後だと思えば丁寧になる」は誰の言葉だったかはっきりしませんが、年に何度か思いだす金言です。
  しかし、まだ先の長い三十代の若者に「どんなことでも、これが最後かもしれないと思ってやってみてはどうですか」は、現実的ではありません。
  そこで「最後だと思う」を言い換えて、「“かけがえのなさ”と“いとおしさ”を感じる」にして彼に伝えました。
  具体的にすすめたのは、とりあえず形から入ることでした。挨拶、掃除、字を書く時、お風呂に入る時など、日常のさいなことを丁寧にやってみるのです。すると、かけがえのなさや、いとおしさを感じる心が後からついてくるようになります。
  食卓にのった一匹の焼き魚に「お前さんにもお仲間がたくさんいただろうに、こうして私の前に来たのも、何かの縁だねぇ。ちゃんと親兄弟に別れを言ってきたかい?」と思えるようになります。冷ややっこを前にして「お前さんはどこの畑でれた大豆からできたんだい?」と思えるようになります。


  人生まるごと丁寧に生きるコツ

  人生そのものを丁寧に生きるには、自分の人生がやり直しのきかない一度きりのものだと意識することでしょう。そして、親からもらったこの命にいとおしさを感じることでしょう。
  そうすることで、人生全般に“丁寧の網”がかかり、きめの細かい人生模様がりあがっていきます。
  生き方の選択肢の一つに、ない物ねだりをしないですむ、「丁寧に生きてみる」を加えてみませんか。。


仏道生きかた手帳掲載イメージ




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