季刊誌『光明』

平成30年-春-第207号



ひとひらのいのち


人に生まれてよかった



  1億円の宝くじが当たる確率は、1千万分の1といわれる。
  実感がわかない数字なので、身近なできごとで紹介すると、それは、人が雷に打たれる確率と同じである。あるいは、サイコロで同じ目が10回連続で出るのに相当する。1億円のくじに当選するのは、まさに夢のまた夢である。
  ところで、新しい生命細胞が偶然に誕生する確率は、1億円の宝くじが、なんと100万回連続して当たるのに等しいという。そうした信じがたい奇跡によって、地球という星に人間が誕生した。私たちが、人としてこの世に生きていることは、不思議としか言いようがない。

  いまから2千年ほど前、人間に生まれるがたきごえんを、仏教は物語にしている。登場するのは、海の底深くにいる、とっても長生きな亀である。
  その亀は、100年に1度だけ海面に顔を出す。一方、おお海原うなばらには1本の丸太がただよっていて、よく見ると小さな穴があいている。海面に顔を出す亀の頭が、丸太のちっちゃな穴にすっぽり収まることがあるだろうか?
  まったくないとは言い切れないが、到底あり得ない。このお話は、人として生まれ、尊い仏教に出会うことが、いかに稀有けうなことかをたとえている。

  『法句ほっくきょう』というお経には、次のような一節がある。
  ひとのしょう
  うくるはかたく
  やがて死すべきものの
  いま生命いのちあるはありがたし
  (友松 圓諦『法句経』)
  意訳すると、次のようになる。
  人間として生まれることは、容易なことではない。たとえ生まれても、命はいつか尽き果てる。いま、こうして生きていられるのは、極めて貴重なことである。

  めったにないことを、「がたし」という。人として輝かしい命を謳歌おうかできるのは、決してあたり前のことではない。その感動を表す「有り難し」は、やがて「感謝にたえない」という意味になり、そこから「ありがとう」という言葉が生まれたという。
  考えてみると、人として生まれたおかげで、私たちは悩み、戸惑とまどい、苦しむ。しかし一方では、人間だからこそ、仲間と協力して困難を乗り越え、大きな喜びをともに分かち合える。
  生きていることに、心から「ありがとう」と言える人は、過ぎ去った日々を感謝し、いまを精一杯生きて、未来に大きな希望をかかげることができる。





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