季刊誌『光明』

平成29年-秋-第205号



高橋英樹の生きる原点



歴史は面白い!



  歴史を学ぶ醍醐味だいごみは、想像することです。時代を切り開いた偉人たちは何を考えて行動を起こしたのか。そんなことに思いをせると、わくわくして夜も眠れなくなります。
  デビューしてからこれまで、数多くの人物を演じてきました。桃太郎侍など架空の人物を含めれば、百人近くになります。中でも一番印象に残っているのは、やはり織田信長。
  信長を演じたことは、役者としてのターニングポイントになりました。まわりの評判もよかったし、何よりもいい演技ができたという確かな手応えを感じました。信長の生きざまを演じたことで、役者としてやっていく自信がついたんです。
  実在する人物を演じるときは、人柄や感情を十分につかめるよう、とことん調べることにしています。暮らしていた土地まで行って町を歩き、住んでいる人たちと会話をするんです。戦国の世まで時計の針は戻せませんから、せめて、同じ場所の空気を味わうことを、大切にしています。
  どんなに年月を経ても、土地が持つ文化や社会性はそれほど変わりません。ですから、郷土がはぐくむ信念や考え方といったものも、急には変わらないはずです。「何を見聞きし、どう育ったのか」という視点で町をぶらぶらすると、演じる人の感情が、おぼろげながら見えてきます。そうした探索の過程は、まったくあきることがありません。

  人物のほかには、神社や仏閣から、造り手の気持ちをうかがいます。
一本の柱を前に「どんな想いで、どうやって運んできたのか」を考えると、実際に木の肌に触れてみたくなります。そうなると、時間を忘れて空想をたくましくしてしまいます。
  歴史的な建造物を好きになったのは、藤堂高虎という武将との出会いがきっかけです。高虎は、築城の名手。当時の武将は、生涯で一人の主君に仕えるのが普通だったのに、高虎は自らの信念で主を替え、理想の城を造り続けました。
それって、私たち役者に通ずるものがあります。たくさんの先輩から技術を学び、理想とする演技ができるように努力することと、かなり似ています。

  偉人や建造物を好きになったきっかけは「人への興味」があったからです。信長にしても高虎にしても、ひかれるのは人間性なんです。
  これからも、人への興味が尽きることはないでしょう。歴史を作ってきた人の信念に触れると、明日をつくるヒントが見えてくるんです。





高橋 英樹
高校在学中の昭和36年5月、日活ニューフェース5期生として日活入社、『高原児』でデビュー。以後『激流に生きる男』『男の紋章』シリーズ、『けんかえれじい』『戦争と人間』『伊豆の踊り子』等、映画黄金時代に多数出演、活躍する。



一問一答コーナー
Q. 家族との思い出の場所は?
A. 京都の太秦うずまさです。仕事で行くことが多いのですが、妻と娘が遊びに来てくれたんです。とても嬉しかったですね。
Q. 行ってみたいところは?
A. 宮崎県の高千穂たかちほ。日本神話の始まりの地でしょ。この国の原点を見てみたい。


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